おいおいと強酸の涙を流す父の頭を抱きしめて、娘は嘆息をこぼした。
母がこんな父の姿を見たら、いったいどんな反応をしてくれただろう。「うげ」だの「きもい」だの「ありえない」だのと言いながら、それでもきっと苦笑いして、そして一緒になって泣くのだ。わんわん泣くのだ。ごめんねごめんねと言いながら。
だって、自分が知る母は、けっこう泣き虫だった。そして父をけっこう愛してた。
「ねえパパ。いつか……いつか」
いつか、永い永い魔人の生を終えて。そして、ママと―――。

「天国で会えるといいね」

070208/ネウロ