「不規則な生活リズムと、過度の疲労。プラス栄養失調気味」
いつもはりんごのように赤い頬が、幽霊のように白くなって、布団から覗いている。
そうそう、大人しく寝てろよ。さっきまで死にそうな顔してた人間が、のこのこ起きるのはだめだろう。
だいたい、オレが今日、公演ツアーから帰ってこなかったら、おまえは今頃いったいどうなってたの。想像するだけで、恐ろしい。
「センパーイ……」
突然腕をオレのほうに伸ばす、こいつ。
なんだよ、水でも欲しいのか?
は?おかえりなさいの抱擁?………寝言は寝て言え。熱烈な歓迎なんて、オレはいらないから。
「おまえ、オレがいない間、ろくなもん食ってなかったな」
台所を見るだけで、その悲惨な食生活が簡単に想像できる。
てか、冷凍庫と冷蔵庫に、オレが作っておいた惣菜を入れといたはずなんだけどな。出かける前に、おまえにちゃんと言っておいたはずだ。
あ?
一日で食い尽くしたぁ?
………おまえの胃袋って………。
「……ふぉぉ……一生の不覚デス」
「何が『一生の不覚デス』だ。おまえみたいな生活してたら、倒れるも当然だろ。ああ、もうひとつ、医者から言付かったんだけど」
「……なんデスか?」
「『もっと清潔にしましょう。』以上」
「………」
さてと。とりあえず、こいつがベッドに収まっている間に、この見るも無残な部屋を綺麗にしてしまおうか。


050209