なんつぅかな。てんぷら屋下働きの坊主(の手にあった亜伊子の巾着袋)をものの見事に蹴り上げたこの人を見たときから、ただの良家の子女だとは思ってなかったけどよ。
「みつ君の……慶光のこどもの頃の恥ずかしい話、ばらしちゃうわよ?」
「………」
だから、そのこどもの頃っつーのはジぃちゃんの幼少時代のことなんだから、俺には関係ねぇだろう。―――なんていう突っ込みは、この人には通用しない。
「だから、ね? お姉さんの言うことはきちんと聞いてねちょうだいね」
この人のこの笑顔に逆らえる人間がいったいどこにいるってんだ。

ジぃちゃん、聞いてますか。ジぃちゃん、どこにいるんですか。
ジぃちゃん、俺はジぃちゃんの名誉を守るために、今日もあなたの姉上様の“言いつけ”という名の“脅迫”に、絶対の忠誠を誓うのです。


060119