なんかもう居た堪れなくてよ。オレは真っ先に図書室に向かったんだ。
「オレは……オレはなぁー」
畜生鼻水が止まんねぇよ。三つ編みの愛しのハニーが、オレの鼻水をティッシュでふき取ってくれる。
情けなぇな。あいつのほうが辛いに決まってるのにさ。あいつってば、ずっと顔色ひとつ変えねぇの。でもやっぱり相当参ってたんだな。ガーデンに着いた途端にぶっ倒れるんだもん。ビックリしたぜ(倒れたあいつを保健室まで抱えていったカドワキ先生にもビックリだったけど)。
スコールってば、よっぽど参ってたんだなー。
仲間があんなに参ってんのに、オレってばこんな、こんな……鼻水垂らして。情けねぇ、本当に情けねぇ。
「オレは、あいつらには幸せに……ぐす……」
幸せになってもらいたい。オレとハニーみたいに。そりゃ、あいつらが抱えてる問題は小さかないけど、でもさ。魔女とか騎士とか、そんなものより大事なことってあるだろう? 世界が認めてくれなくても、オレは……オレは……。
「幸せに……ぐすぐす」
「もういいですから。ゼルさん。ね? ほら、鼻水を拭いてください」
オレにはこの子がいて。オレが辛いときは、この子が抱きしめてくれる。スコールにはリノアがいて。スコールが辛いときはきっとリノアが抱きしめてやるんだろう。
でも、今回ばっかしは、リノアも辛いだろうしよ。あいつらいったいどうなっちゃうんだろう。スコールはいったいどうやってリノアに会議のことを話すんだろ?
なんか、切ねぇよ……あ、また鼻水が。ちくしょー
チキンハートはあっちっち 071211