バレバレバレンタイン



「何コレ」「酒盗です」
いや見ればわかるってば 俺が言いたいのは そんなことじゃなくてだね
「何ですか?敦賀さん」 何ですかって………そんな
「何か文句でも?」 あります 大有りです

なんでピンクのリボンでラッピングされた箱から こんなモノがでてくるの
ビンに入った酒盗
今日の日付とこの状況から推測するに コレはつまり………
「バレンタインのプレゼントなのかな?」「それ以外の何に見えます?」

………俺がいうのもなんだけどね 
「君は情緒というものを どこかで勉強してきたほうがいい」
「失礼な」「………」
「敦賀さん 眉間に皺がよってますよ シ〜ワ」
痛! こら人差し指で 人の額をそんなに強く突っつくものじゃありません

だいたいね 何が悲しくて 恋人にバレンタインチョコならぬ バレンタイン酒盗なんて貰わなきゃいけないの
まったく どういうつもりなんだ
俺だって少しは期待してたんだよ 君の手作りのチョコ
それなのに それなのに
こんな………よりによって酒盗
情緒もロマンも何もあったものじゃない

「…………敦賀さん?」「何?」
気分に比例して 俺の返事もトゲトゲしくなる
って何 何なの そのうるんだ瞳は え 涙?

「こんなプレゼントいりませんか?」 ち 違………
「敦賀さん 甘いもの苦手だからって 色々考えて だから敦賀さんの好きなモノをと………」
た 確かに俺は甘いものはあんまり食べないし 酒盗も好きだけど
「いりませんか?」
いります! いりますってば! ありがたく頂戴させて頂きます!
だ だから 泣かないでくれ お願いだからっ

「キョーコちゃん?」
俯いて 肩を小刻みに振るわせて………
女の子を泣かしてしまったとき 男という生き物はかなり動揺するものだ
もちろん生物学上 雄に属する俺も 例外ではない
ああ 泣かすツモリなんて これっぽちもなかったのに

「………ふ」
……………………ん?
あのさ キョーコちゃん 今さ………
肩をふるわせて……

「ふふふ」 や やっぱり!
「ふふぅ!あははははは!!」 嘘泣きしてたな

「………」「あはは イヤだな〜 敦賀さんそんなに怒らないで下さいよ」
これが 怒られずにいらいでか

「うふふ 敦賀さんを騙すことができただんて 私の演技力も捨てたものじゃありませんね」
「まったくね」
そんな風に可愛らしく笑われちゃ 俺はもう何も言えません
これって何て言うんだっけ? 惚れた弱み?

「酒盗がプレゼントというのは冗談ですよ こっちが本物です」
そう言ってキョーコちゃんが ごそごそ出してきたのは さっきの酒盗入りの箱より一回りほど小さい箱
開けてみれば 今度こそ 茶色い物体がそこに
念願のチョコレート

「イチオウ手作りなんですが」「うん」
「お口に合うかどうかは 微妙なんですが」「うん」
「甘さは控えめにしておきました」「うん」

「食べてもいい?」「どうぞ」

一つつまんで パクっと口に放り込む
じわりと口の中でチョコが溶けていく感覚

「美味い」「よかった」
「ご馳走様でした」「お粗末さまでした」

「酒盗も有難うね」「うふふ」


(スキップ・ビート!,2004/02/??)(2006/01/03改)